松崎有理の新刊と同時リリースされたこちらのアンソロジーにも1作、書き下ろしが入っていたので。 全体を通して捨て作なしとの印象。CDのアルバムのように作品の収録順も含めて秀逸なアンソロジーとなっていると思うので最初から順に読むことがおススメ。 個人的に一番面白いと感じたのは砂村かいりの作。ストーリー展開もよいし、自分も非日常を旅しているという没入感がある。 もし砂村かいりを単行本で読むようなファンがいて、この作を読まずにおくならばもったいないのではないかと思う。(『紙魚の手帖』収録作とのこと) 松崎有理はこのアンソロジーのリアリズムな流れから一人だけ漫画的にぶっ飛んでいて、アカデミックな学びをややクドさを感じるほど混ぜ込んでくるところ、まさに全開やりたい放題。 鳥山まことの作は逆に純文学に振っている。生と死を自分ごととして省察する静謐で重みのある作品。何かを探すために旅に出かけ、何かは見つけられなかったもの確かに掴んだものがあった。