本書の著者は、その1991年以降、ウクライナ現地に滞在して活動する機会を何度も持っている。本書は1990年代初めの、「新たに興った国で、新たな通貨を設定しよう」というようなことから始まった様々な様子を振り返って綴ったという内容が中心である。 本書はその1990年代前半頃の動きを綴った部分に、2014年頃に発表した論考、2022年に発表した論考を合わせたモノとなっている。なかなかに価値在る内容に纏まっていると思う。 本書は、「ソ連の解散」で生じた混乱を潜り抜けようとして来た様子、そして著者がウクライナ滞在時に様々な地方を訪ねて得た見聞や知見が纏まっている。 本書の中にウクライナの方の言として引かれている内容でもあるが、ウクライナは「10年毎に計3度も“革命”」と言われる程度に政治が揺れ動く経過を辿っている。1994年にクラフチュク大統領が失脚、2004年に「オレンジ革命」と呼ばれる出来事でユシチェンコ大統領が登場、2014年に「マイダン革命」でヤヌコーヴィチ大統領が国外へ出てしまうということで3回だ。本書では、収録されている2014年頃と2022年に各々発表した論考を通じて、こうした“革命”がもたらしたモノが振り返られている。 1991年の「ソ連の解散」の後は、「これまでの色々は止めました」となり、「で?如何します?」とでも問えば、「如何でしょう?」と返答が在るというような状態だったのかもしれない。“ゼロ”どころか、“マイナス”のような辺りから、自国の経済活動を安定させて、諸外国との交易を出来るようにと考えることや、色々な規則を整備するようなことなど、何でもやらなければならなかった訳だ。「当り前に在る」というようなモノが「不明?」になっていて、それを何とか整理しようとする人達の様子を見詰めるような、本書の見聞記は非常に貴重だと思う。 結局、少し前からの経過、やや旧めなことも含めて、直接の関連の有無を問わずに事態の歩みを可能な範囲で学び、その上で考えることが、色々な問題に関して重要であるような気がする。ウクライナの問題は正しくそういうようにして、理解を拡げて深めるべきだ。 大変に有益な一冊に出会えたことを歓んでいる。