・大根の話が面白かった。大根を果物感覚ででかじるとは思わなかった。しかも、「中国、こと北方では「大根好きは梨を食わぬ」との諺があるくらい」とあった。大根が梨の甘さを上回るとは! また、則天武后が「仮燕菜(ツバメの巣もどき)」を食べた話も興味深かった。 ・親本のあとがきで、著者は食した「李鴻章大雑カイ(火偏に會)(チャプスイ)」が想像と異なって、「肝臓スープ」だったことを残念がっていた。ただ、著者の想像が分からず、その残念さを感じ取ることができなかった。本文では李鴻章の地元の合肥の「伝統的御馳走」とも記されていた。が、チャプスイには肝臓を使うこともあるとあり、【あり合わせのごった煮】であることも強調されていた。本物の美食は、本書に登場する清代の美食家・袁枚同様、優れた専属料理人を雇わればならぬか。少なくとも、レストランに入って、食べる直前に用意されているメニューから選んで注文する、では無理なのか。著者もやっていたが、数日前からレストランに席どころか、料理自体を予約して食べに行けば、多少はマシな結果になるのか。 ・親本・文庫版ともに、あとがきが少々愚痴っぽくて、せっかくの名菜(本文)の良き余韻が消えて残念。 ・文章だけでは視覚的なイメージが持てない。カラー写真(一応、表紙カバーには東坡肉のカラー写真が使われているが)か、挿絵がほしかった。