1867年頃に記録を現代語訳した一冊で、大変に興味深い。なかなかに興味尽きない感の一冊に出会えた。愉しく読了に至った。 長い道程を辿り、道中にも様々な文物に触れながら進む様や、辿り着いたフランスでの出来事や、欧州の各地を視察に出掛けての見聞等、生き生きと綴っていることに加え、万国博覧会での日本による展示への反応等を新聞記事の抄訳を引いて紹介している様子に、何か凄く引き込まれる。そして「生き生きと様子が伝わる報告」を綴る幕吏たる杉浦や渋沢の「出来る男達」という様が伺えた。 石造から木造、鉄骨を組んだ硝子張りと様々な建物を方々で見て、下水道や道路を見て、新聞印刷の印刷機や供される情報提供の力を知り、銀行や貨幣の管理や製造を見学し、船から大砲迄の諸々の機械を見て、様々な国々からの来賓が登場する催しに加わっている様子が本書からよく伝わる。 正しく「明治の初め頃の或る時、徳川昭武に随行して欧州を訪ねた方の土産話に耳を傾ける」という調子で読む事が出来る本書だ。そしてこの「土産話」こそが、明治時代以降の様々な動きの原点にもなっているのだ。 なかなかに貴重な内容が、読み易く整えられ、手軽な文庫本として登場している。大変に幸いであると思う。愉しい読書体験が出来た。