タイトルの意味がわかった

(ストーリーのネタバレはありません) この物語はどこからどこまでが現実なのか?主人公・ススメの妄想も混じっているのではないか? 観る者達へのわかりやすい状況説明などはなく、淡々と、そして緊張感と不安感を孕んだまま物語は進んでいきます。 至る所に暗喩が散りばめられ描写こそ難解ではあるものの、テーマは普遍的で誰しもが抱えている心理を描いていると思いました。 ラストの解釈は観る者に委ねられていますが、私はハッピーエンドだと思いました。 役者についての感想は、ススメを演じた井口理さんの演技が本当に良かったと思いました。現実では人気バンドKing Gnuのボーカルであることは冒頭の不器用なススメのシーンで一瞬で忘れさせられ、役者が演技しているのを観ているということもあっという間に忘れてススメに感情移入していました。完全にススメとしてそこに存在していました。それがこの作品に体温や湿度を感じる生々しさ、説得力を持たせていると思います。目線や表情の繊細な動きだけでススメの感情が痛いほど伝わってきて、途中苦しくなりました。 宮子を演じた馬場ふみかさんは、つかみどころがない底なし沼のような宮子を、ただのミステリアスな女性にはせず絶妙に演じられていました。宮子の目と声色にはいろいろな意味でどきっとさせられます。 河合優実さん演じる蓉子は、ススメを見つめる時の蛇のような、すべて見透かしたような目が凄く印象的でした。一言一行で物語にヒリリとしたインパクトを与えるキャラクターでした。 物語自体の輪郭は終始はっきりとは見せないので好き嫌いが分かれそうな作品ですが、刺さる人にはもの凄く刺さると思います。私は刺さりました。