反権力の社会派サスペンス

昔はこういう反権力の姿勢を露わにした社会派サスペンス映画は結構あったのだが(山本薩夫・今井正・熊井啓監督等)、今の日本映画界はコミックの映画化が中心になってしまい、文芸小説の映画化も少なく、非常にジャンル的に狭まってしまった感があるのは残念である。 現実に起きた(起きている)事件を素材にして、内閣調査室の陰謀(?)を描いているだけに公開後は賛否両論だった訳だが、こういう主張も良いではないか。現在、政府自民党や安倍首相を批判すると、ネットでは反日、日本から出ていけと叩かれる風潮になってしまっているが、新聞や週刊誌のようなジャーナリズムが時の政府・権力を批判できなくなってしまったら、それは独裁国家だろう。それこそネット住民が嫌いなはずの中国、北朝鮮、韓国と同じになってしまうではないか。これらの国々と同様に自由な言論のない国家で良いのか。大いなる矛盾であることを彼らはしている。 自分もこの映画を全面的に支持している訳ではなく、それほど優れているとは思わないが、こういう映画を世に問う意義はある。ただし、主演のシム・ウンギョンの日本語はやはり変である(当然だが韓国人が話している日本語である)。これは日本人の女優が演じて欲しかったが、内容が内容だけに芸能プロ、女優本人も腰が引けたのかなぁ。そう考えると、松坂桃李は大したものである。アイドル的二枚目で出てきたが、俳優としての意識は高く、度胸は据わっているのだろう。