チンキに特化しているところがいい

といっても、ハードルはそれなりにある。誰がわざわざハーブや生薬を使ってチンキを作り、一年以内に使い終えることを前提にあれこれ手を出せるだろうか。でも、自分にとってはとても役に立った。なぜなら一年分を作っておきたいチンキがあって、でも収穫時期の問題もあっていつでも作れるわけではないからだ。また、チンキを作るために一ヶ月から二ヶ月、アルコールに漬け込んでおかねばならない。 この本はそんなチンキばかりではなく、煎じたりして飲んだり入浴時に使ったりといった使い方もそれぞれの植物ごとに向いているものを紹介されているところがいいと思う。そしてチンキを使ってマッサージクリームを作ることも説明されているが、普通にそれはボディクリームとしても使える上、植物をアルコール漬けにしたものだから、何かと言われる香りのトラブルにもなりにくい。高価な器具を使うのではなく、キッチンにあるものや空き瓶などを使って作ることを前提にしているところもいい感じだ(ただし、消毒は大事で煮沸消毒などが書かれている)。世間のイメージは植物なら安心安全というところがあるけれど、普通に昔から世界に毒草は存在しているし、アレルギーを起こしやすいものだってある。だからチンキによっては日光に当たるとシミになりやすいものに関しては、さりげなく注意喚起されている。これは生のきゅうりを朝、顔にパックしたりすると、そのあとで太陽の光を浴びたらシミになりやすいというアレを思い出したら納得できると思う。市販のもので香りのついているロウソクに熱を当ててその蒸発にともなく穏やかな香りが室内に広がるのを楽しむものもあるけれど、こういうハーブチンキは、陶磁器などに入れた水にチンキを垂らし、穏やかなロウソク加熱などでチンキの成分を蒸発させる感じで使えると思う。乾燥する時期には鼻や皮膚などに湿度と共にわずかながら吸い込まれていくだろう、あくまでとてもとても僅かだが。合成香料ではなく、素朴で穏やかなもので安らいで欲しいという著者の気持ちが伝わってくるような本だった。