事柄に関して「少しばかりは解る??」というように解説しているらしい本に出くわすと、手に取ってみたくなるという訳で、真言宗の寺で頻繁に読誦されているという<理趣経>に関する本を読んでみた。 本書では<理趣経>の、真言宗の寺で頻繁に読誦されているモノを基礎に、読み方や現代語訳を挙げる他、<理趣経>が伝えられた経過や真言宗の寺で盛んに取り上げられるようになった経過、その内容が示唆するモノ、そして「曼荼羅」の画を駆使して僧俗の人達に広く伝えようとしている事柄の解説を試みている。 <理趣経>は、禁忌とするようなこと、忌避するようなことも全て含めて「人間の営為の全て」を肯定した上で、大日如来が様々な姿を借りて説く教えに従って高みを目指し、自利利他―個人が救われ、人々も救われる―という内容を説いている。その忌避するようなことも全て含む「人間の営為の全て」の中には「性行為」も含まれ、所謂“調伏”というようなことでの「怒りの鉄拳」というようなことへの言及も含まれている。 そういうことなので「誤解」も在り得る内容で、真言宗では「読誦に大変な功徳が在る」として頻繁に<理趣経>を読誦する他方で「慎重な取扱が必要」としているようだ。 何れにしても、難解とされているような古いモノについて、「一寸関心を寄せた」という一般読者が触れ易いような形に纏めた労作は貴重だと思う。 本書も、手が届き易い場所に置いて何度も読み返してみることになるかもしれない。