ロボットアニメの金字塔
『機動戦士ガンダム』、いわゆる『ファーストガンダム』の、安彦良和による新解釈である『オリジン』の第19巻。
『機動戦士ガンダム』が生まれて30年目にあたる2009年最初に刊行された巻です。第19巻は連邦軍の、ジオン軍宇宙攻撃軍拠点ソロモンへの攻略で幕を開けます。注目したいのは以下の3点です。
1. アムロ・レイがセイラ・マスに対してあなたのお兄さんを殺すと皮肉を言っている。
2. ブライト・ノアが「ニュータイプ」を否定している(ただしブライトは元々ニュータイプに懐疑的だった)。
3. 「ソーラ・レイ」を連邦軍がジオンより先に実戦で使用している。
この第19巻を読んで、私は改めて思ったことが二つあります。
第一に、『機動戦士ガンダム』は今や、一アニメーションの枠を超えて、アニメファンにとって「教典」にも等しい存在となったこと。例えば『聖書』が、何千年も前から書かれてきた複数の本で、時代と共に様々な解釈をされ書き写され、時として新たな写本が見つかりながら現代にまで伝えられてきたように、『機動戦士ガンダム』もまた30年の歴史の中でその時代その時代の価値観を反映し様々に解釈され亜流をも生んできました。『ガンダム』が『聖書』と異なる点は、1979年~1980年代に制作されたマスターは「デジタル」の恩恵を受け、VHSテープだった物がレーザーディスクとなり、DVDとなり、Blu-rayとなり、更に次世代の規格で劣化することなく「原本のまま」100年200年と受け継がれていくという処です。
富野由悠季と安彦良和の両氏はいずれ亡くなりますが、彼等が亡くなっても『ファーストガンダム』は、例えばことぶきつかさが『DAY AFTER TOMORROW』を描いたように、次の世代により新たな解釈を加えられ、「ロボットアニメの金字塔」として受け継がれていきます。
第二に、21世紀になり『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダム00』などの新作が何十作制作されようとも、それらは決して『ファーストガンダム』を超えられないということです。『機動戦士ガンダム』ほどに衝撃的なロボットアニメに私は30年経過した今もまだ出会っていませんが、「ガンダムより面白いロボットアニメ」を制作することは才能ある者の出現があれば実際には可能です。しかし「ガンダム」の名を冠する限り、その作品が如何に優れていようとも、『ファーストガンダム』を超えることは絶対にできません。
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