バイアスじゃないでしょうか。

本書によると「励ましをうけた男性はその足で自殺した」のだそうだ。 だから励ますのでなく、ただ話を聞け、とのこと。 ただ励ますのではよくない、というならまだしも 励まが励みになり頑張れた数多の人生はどうなるのだろうか。 そういった救いも望みもなくなった患者のみが 精神分析を受けるというなら、これまでと違った対応は役に立つだろう。 だが、その対応こそ最優先といった論調はいかがなものか。 病院でこじれた不登校だけをひたすら相手にした結果 「不登校に登校刺激を与えるとはけしからん!」と声高に主張し うまく行っていた現場の対応を否定し、 結果として不登校数を増加させた歴史への反省は、ここには微塵も感じられない。 自分が相手する人々の特殊性に思いが行くのはいつの日か。 本書によると「表層的な部分だけの変容を目指す心理療法の代表格が認知療法」 だから必ず再発するのだそうだ。 シロートの文句じゃあるまいし、再発のエビデンスがないことは 一体どのように反論するのだろうか。 「精神分析はフロイト以降100年の進歩がある! 知りもしないで批判するな!」と分析家は言うが 逆もまた然り。そこに思いが行かない情けなさ。 フロイディアンは曇ったメガネを今でもかけ続けているようだ。 大学の先生とも思えない論理的飛躍に満ち満ちた一冊である。 精神分析は、いい意味でも心理学ではない。 ぜひ、心理学とは違う分野として頑張ってもらいたい。 著者にその騎手を期待する。