読みごたえのある一冊
自分が薬剤師という職業柄故に、年々増加する精神疾患罹患患者に対する自らの知識向上の為に購入しました。
本書は大まかに、坑精神病薬、坑うつ薬(坑躁薬)、坑不安薬と睡眠薬にカテゴライズされており、それぞれの章で成分別に体系的に記載されており、薬効薬理、生体内作用機序、用法用量、処方例、副作用などが詳しく記載されています。
また精神疾患の概念、病因研究仮説、実際の症状、症例等はもちろんのこと、向精神薬の開発歴史や関連薬DI集なども載っており、題名通り“向精神薬マニュアル”として非常に充実した内容になっています。
個人的には、アリピプラゾール(エビリファイ)のドパミンD2パーシャルアゴニストとしての作用機序の記載や、ハルシオン、ロヒプノール、マイスリーなどの単独及び併用薬有での大量服用時における症例データが特に興味深かったです。
本書は2009年6月第2刷発行となっており、古典的なフェノバルビタール、コントミン、トフラニール、セレネースなどから、比較的発売が新しいエビリファイ、ジェイゾロフト、コンサータなどまでが網羅されており、だいたい2007年発売ぐらいまでの医薬品がカバーされているようです。しかし例えば本書発売以降2009年9月に発売された新型坑うつ薬NaSSA(1994年オランダで発売開始になったレメロン等)などの記載はなく、既に海外では発売されていても国内で発売されていない医薬品はカバーされてないようです。
以上本書は非常に充実した一冊ではあるものの、あくまで専門書であり医療従事者など専門職向けの本であり、あまり専門職以外の方向けではないと思います。
ただ精神疾患に興味がある人や、実際に精神疾患に罹患している方やその周りの人にとっては、興味のある部分だけ掻い摘んで読むだけでも精神疾患、向精神薬に関する理解の向上の一助になるとは思います。
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