村川透監督の江戸川乱歩の美女シリーズ

第12巻は江戸川乱歩の小説の中では最も有名と言って良く、今までに何度も映画化・テレビドラマ化されている「人間椅子」(禁断の実の美女)である。時代を感じさせるのは、冒頭飛行機の客席で明智小五郎(天知茂)もヒロイン(万田久子)も堂々と煙草を喫っている事。1984(昭和59)年はまだ禁煙の概念は、全く世間にはなかった。しかし、この「人間椅子」(禁断の実の美女)はその設定はひとつのモチーフに過ぎず、全体の展開は原作とは似ても似つかない。 2作目の「三角館の恐怖」(炎の中の美女)は、監督が村川透というのが一つの目玉か。この頃、村川透監督は本編の映画よりも「大都会」、「西部警察」、「探偵物語」等のテレビドラマを主戦場にしていた時期で、天知茂の「江戸川乱歩の美女」シリーズも何作か手掛けている。これらのシリーズ物で個性を出すのは、なかなか難しいだろう。