精神の型枠を吹き飛ばすインドラの矢

世の中をギクシャクさせている立場主義の型枠を吹っ飛ばすインドラの矢になる強烈な書物だと思います。「タガメ女」では社会(主にメディア)が与えた役割と思想を当時の女性が、また、男性が従順に従った現実を赤裸々に示され、「魂の脱植民地化」では押し付けられた立場に対する自らの魂の抵抗と、その軋轢から生じる自己防衛反応(引きこもり)に言及された深尾さんがさらに深層に踏み込まれた次なる一手、「型枠」の内向的な、また同時にそれが持つ外圧的な暴力について考察が進みます。自らを取り巻く立場や役割という「型枠」が、実は押し付けられるものではなく、外力を受けて自らが生み出す自己制御システムであることに気付かされました。マクロな地形が微細な砂の構造の連続体であることや、自分の立場や考えがいかに相手を萎縮させ、相手の自由を奪い、思想を踏みにじる行為かを思い知ることにも思いが至りました。同時に、これらの摩擦熱を経て、自分の型枠を脱ぎ捨てた先にある自由と、周囲と築いていくべき無理なく相互を尊重する関係性のヒントが多分に含まれていると思います。次世代に受け継いでいきたい書物です。