浅丘・小林コンビによる貴重な悲恋物語

まだ幼さの残る顔立ちの浅丘ルリ子と純朴そうな青年小林旭、後年のイメージからかけ離れた二人が演じるのは、昭和33年芸術祭参加作品の文芸大作「絶唱」である。大江賢次の原作は有名だが三度も映画化されている所以だろう(この人の他の小説を知らない)。その最初の映画化が本作な訳である。自分は舟木一夫、和泉雅子コンビの二度目の作品を封切り時に見ているが、その時はこれが再映画化だとは勿論知らなかった。当時の舟木は人気絶頂の頃で、その主題歌も大ヒットし、確かレコード大賞の歌唱賞を受けたはずだ。 三度目が百恵・友和コンビの作品で、これが一般的には最も知名度が高いだろう。そして、映画としてはこれが最後の作品になった。戦争前後の古い因習にとらわれた田舎を背景にした悲恋物語なので、到底現代向きではない。