増村保造監督最後の傑作

文字通り増村保造監督最後の傑作と呼ぶべき作品である。1978年キネマ旬報ベストテン第2位、梶芽衣子は当然の主演女優賞受賞の熱演である。増村保造監督は大映の所属監督だったので、数多くのプログラムピクチャーを撮り、中でも若尾文子と組んだ作品群は傑作が多いのだが、意外と当時のベストテンに入選している作品は少ない。それでも、独立して最晩年に撮ったこの作品と「大地の子守歌」は増村監督の力量を感じさせる日本映画史に残る傑作である(自分は大映で撮った「赤い天使」、「清作の妻」、「卍」、「刺青」、「夫が見た」、「妻は告白する」、「盲獣」、「大悪党」の方が面白いし、優れていると思いますけどね)。 残念ながらこの作品の後は2作監督しているが、あまり映画を撮れずテレビの仕事(脚本)が多くなってきて、1986年62歳で急逝してしまう。当時の映画界の現状を考えると、これ以上の映画を撮れたかどうか分からないが、惜しい才能の監督を亡くしたものである。