隠されていた歴史の汚点

メインの出演者が凄い、地上波のテレビや大手の映画から締め出された俳優ばかりだ。東出昌大やピエール瀧、豊原功補、永山瑛太(事件を起こしたのは弟だが)、水道橋博士。監督・脚本は反権力の旗幟鮮明な森達也に荒井晴彦。また、可愛い「なっちゃん」だった田中麗奈がこういう社会派系インデペンデント映画に出るようになったかと感慨深い。 しかし、描かれた内容は相当ハードで恐ろしい。幾ら大正末期の一般に人権意識の低い時代だったとはいえ、また関東大震災による混乱に乗じた時代背景があったにしても、女・子供(胎児)を含めて9名(胎児を数えれば10名)もの人間を虐殺し、川に流してしまうなど人間としてやって良い事なのだろうか。映画でも台詞にあるが、朝鮮人なら、被差別部落出身者なら殺して良いのかという話だ。裁判記録によると、当事者たちは全く反省していなかった(世論も味方した)ようなので、これは現代からの視点故に言えることになってしまうのだろうか。 舞台挨拶で東出昌大は、これだけの大事件ならばハリウッドでは何度も映画化されているだろうと言うが、日本では大手の映画会社では出来ず、「反日映画」と言われてしまうと(事実そうなっている)。東出は過去のドラマ・映画では情けない役や気弱な役が多かったが、意外と硬骨漢だったのだと思う。現在のワイルドな風貌、生活も納得。