遂に出た!襲撃篇

安藤組の実録シリーズー「やくざと抗争・実録安藤組」、「安藤組外伝・人斬り舎弟」そしてこの作品とほぼ同じ題材(横井英樹襲撃事件)を扱った「安藤昇のわが逃亡とSEXの記録」ーは、同時(安藤昇死後の2016年6月)に3作DVD化されながら、この「襲撃篇」のみは何故かその時DVD化されなかった。本来ならば同時に出した方が営業上も効率が良いはずなので、被害者(遺族)に忖度したのかとも思うが、先に書いたように「わが逃亡とSEXの記録」はDVD化した訳だから、本当に意味が分からなかった。多分東映には抗議が殺到したはずだ。それから5年余は長かった、ようやく発売された「襲撃篇」、逆に言えば何故今、何があって発売される。この5年の間に何か事情が変わったのか?本当に謎である。 しかし、この映画は実際の事件の首謀者を本人に演じさせるという前代未聞の企画。安藤昇は服役後足を洗い俳優になっていたとはいえ、実際の事件からまだ15年しか経っておらず、この映画が公開された1973(昭和48)年の時点では、被害者の横井英樹もまだホテルニュージャパン火災前で現役バリバリであり、また東映の女優(愛人)役の山口洋子も一流の作詞家としてヒット曲を連発していたはずだ。現在ではコンプライアンスの観点からも絶対作れないだろう。「山口組三代目」といい、この時代の東映の反権力(警察)の姿勢は素晴らしい(山口組の三作目は屈してしまったが)。それに比べると最近の世論に迎合した映画(芸能)界のコンプライアンス重視の姿勢はいただけない。 不倫で俳優(女優)が干されてしまうなど、昭和の時代では考えられないことだ。逆に当時は大物俳優、政治家や大企業の金持ち等ステイタスのある人が、愛人(妾)を何人も囲い、隠し子を設けることなど当たり前だった。この映画の安藤昇もそうだ。それで非難されることも、仕事を干されることもなかった。それは夫婦だけの問題であり、第三者がコンプライアンスを盾に仕事に影響を与えることはない。 話が少し逸れてしまったが、要するにこの時代の岡田茂社長が率いる東映の不良性感度が石井輝男監督作品や様々な実録映画の傑作を生みだした訳だ。正義やコンプライアンスは芸術にとっては邪魔なものだ。