お行儀の良い映画

「傷だらけの天使」でショーケンに ”アニキ~”と叫んでいた水谷豊が、約50年後ここまで大物俳優然となるとは思わなかった。「相棒」という当たり役を得て、テレビ朝日と東映にとっては“天皇”と言われる存在になったが故に、たまには好きな映画を撮らせない訳にはゆかないんだろうなぁ。という訳でこれが「TAP」、「轢き逃げ」に続く監督三作目。 大してヒットする内容とは思えず、ほのぼの系の映画なのだが、シネマスコープで撮影しているのが凄い。地方の素人交響楽団の指揮を執っていた水谷豊が倒れるが、彼は有名な指揮者西本智実の父親だったという設定。その縁で西本が解散コンサートの指揮を執ってくれることになり、とんとん拍子に話が上手くゆきすぎ。素人とプロが一緒に演奏するとなると、それなりの葛藤とドラマがありそうな気がするがそこは描かれず、直ぐにラストで「ボレロ」の演奏が始まっている。 そして、途中で反発していた人も改心し、結果的に悪い人が一人も出てこない、という今時珍しい映画。