戦後の沖縄空手界を背負った人物

20世紀を生きた沖縄の著名空手家の生涯を通して、沖縄の歴史、空手と政治の関係などが綿密な取材のもとに描かれており、興味深い内容でした。現在の沖縄の空手が1945年の「沖縄戦」で生き残った空手家によって継承されたとの冒頭のくだりは、沖縄の特異な歴史を思い起こさせます。空手の世界にも「琉球処分」というべき出来事があったことはショックでした。東京オリンピックで金メダルをとった喜友名諒選手のこともちらっと出てきますが、沖縄の空手家に「競技」の可能性を開いた長嶺将真さんの存在がなければ、喜友名選手の活躍にもつながらなかったかもしれないと考えさせられた内容でした。貴重な歴史の記録を綴った本だと思います。