自身の出自に重い軛を架せられた弟・春。なぜ父は彼ら兄弟に真実を告げたのか? 物語の本質がそこにはないし、まして少年犯罪に対するメッセージ性もない。だがしかし、物語にのめり込んでしまう。途中から春が「犯人」だと判っても、その面白さは変わらない。警告を残す空巣や、殺人は何故いけないのかを問う生意気な高校生の話にクスッとしてしまう。濃霧の中での殺人。社会は許さなくても、家族は許す、という兄の言葉。凡人には思いもつかない書名。伊坂ワールドを満喫できた。