「重力ピエロ」・・・家族の絆の大切さ

暗い過去を背負いながらも揺るぎない家族の絆の大切さを思い知しらさせられる良い小説でした。 【以下ネタバレ】 主人公の「泉水」、母親がレイプされ生まれた弟の「春」そして癌で入院中の父親の3人が町内で起こっている連続放火事件を解明する話し。余談ですが「泉水」と「春」どちらも英語で書くと「Spring」です。。。 放火事件現場の近くの壁には必ずグラフィックアートの文字が書かれている。読み進めるうちに犯人が誰かは見当が付いてくる。きっと最後にどんでん返しがあって別の犯人が出てくるに違いないと思いたいが、結局は作者の意図通り多くの読者の悪い予感が当たる。 話の中のところどころで父親の家族を守る姿勢に心を動かされ、改めて家族の絆とは何かを考えさせられました。 「泉水」と「春」を分け隔てなく育て、常日頃「俺たちは最強の家族だ」と胸を張る父親の姿。主人公に春の出生の秘密をはじめて話した夜に「レイプ事件なんて無数にあるんだろうから。妊娠した子を堕ろす人もいるし、産む人もいる。どっちが正しいと思う?正解なんてないんだろうな」と父親が言う。 末期癌の手術前に父親が春に「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」と言う。染色体であるとか、遺伝子であるとか、血の繋がりであるとか、そういったものを、父は軽々と飛び越えてしまった。 ちょうどサーカスのピエロが空中ブランコで飛び移る時に重力が消えるように。。。