実は日本人で最もノーベル文学賞に近かったと言われている安部公房。 主にミステリーを乱読する自分としては、たしなみとして読んでおくべきかと思い購入。 多彩な比喩が次々に繰り出されることで、もちろん挿絵のひとつもないにもかかわらず、とてもビジュアル的な作品だと思いました。 砂かきの手を休めると砂に埋もれてしまう家というとんでもない設定でありながら、割とすんなり読めるのはその辺りが理由かなと。 時々私の想像力が追いつかない表現が現れ、純文学の壁を感じたりもしましたが。 深読みすれば、人間存在そのものが抱える欲望のあり方を鋭く描いた、とかいうことになるのかも知れません。でもそんなことを抜きにしても楽しめる小説です。