覆面の『文庫X』として話題となり、あちこちの書店で平積みされ、そうなると逆に読みたくなくなる天邪鬼な私でしたが、誘惑に負けて購入。あっという間に読み切りました。 冤罪、そしてくだらない言い訳ばかりで誤りを認めない警察、それによって真に罰せられるべき悪がお天道様の下を堂々と歩く。 ただ、これだけこの本が売れて問題意識を共有する仲間が増えた今でも、日本のシステムが前に進んでいないのは、どういうことなんでしょうか。
新聞に載っていた、わかぎえふさんの書評に釣られて購入。小1、年中の息子娘向けというよりは、私含め40越え親父がニヤニヤしながら読む本でした。妄想力バンザイ
愉快な物語ではありません。 ページを繰る度、時に歯切れよく、時に流れるように滑らかで美しい文章で紡がれる様々な『理不尽と暴力』が心をざわつかせます。 次に吐き・吸う自分の息すら厭になるような、読むことが苦役にもなる、私にとってはそんな物語でした。それでも、読む手は最後まで止められませんでした。 無知な私はあとがきを読んで、この作品がいわゆる『311後』の作ではないことを知り驚きました。 ただの自然現象によって分別も思慮も情けもなく薙ぎ払われる数々の命。 それを間近に見た人間の心情を、私は想像する事ができません。ましてや『311』を目の当たりにしなければ想像しようとも思えなかったしょう。20年遡れば、隣の都市で起こった阪神大震災を見てきたというのに。想像力を、プラスにもマイナスにも遠くにも近くにも飛び回らせられる著者の心が、少々恐ろしくなりました。青山真治監督の映画『ユリイカ』を思い出しましたが、物語の閉じ方の違いもあるにせよ、より心に強く残ったのは、この『光』でした。
犯罪そのものではなく、被害者や加害者、その家族の懊悩を丹念に描く著者お得意のスタイル。期待を裏切らず、あっという間に読み切ってしまえる面白さでした。 ただ、細かいところに気になる部分があります(『殺人』ではなく『傷害致死』?など)。 これも特徴といえるのでしょうが、文体にまだ軽さ粗さがあります。ストーリーやプロットは十分に高い質を持っているので、例えば奥田英朗さんのような筆力を手に入れたら、というのは望みが高すぎるでしょうか
すべてが落ち着くところに落ち着いた、まさにそんな大団円。やはり、『偶然』重要人物に出くわすことが物語を大きく動かすが、確か江戸は当時世界で指折りの人口を抱える大都市。出来過ぎな印象は否めません。それでも一愛読者としてこの10巻目を待っていた身からすれば、そうしてでもこの結びにたどり着いてくれなければ暴動ものだったでしょうから、やむなし。。いつか全巻通して読み返してみたいシリーズでした。
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殺人犯はそこにいる
覆面の『文庫X』として話題となり、あちこちの書店で平積みされ、そうなると逆に読みたくなくなる天邪鬼な私でしたが、誘惑に負けて購入。あっという間に読み切りました。 冤罪、そしてくだらない言い訳ばかりで誤りを認めない警察、それによって真に罰せられるべき悪がお天道様の下を堂々と歩く。 ただ、これだけこの本が売れて問題意識を共有する仲間が増えた今でも、日本のシステムが前に進んでいないのは、どういうことなんでしょうか。
もう ぬげない
新聞に載っていた、わかぎえふさんの書評に釣られて購入。小1、年中の息子娘向けというよりは、私含め40越え親父がニヤニヤしながら読む本でした。妄想力バンザイ
光
愉快な物語ではありません。 ページを繰る度、時に歯切れよく、時に流れるように滑らかで美しい文章で紡がれる様々な『理不尽と暴力』が心をざわつかせます。 次に吐き・吸う自分の息すら厭になるような、読むことが苦役にもなる、私にとってはそんな物語でした。それでも、読む手は最後まで止められませんでした。 無知な私はあとがきを読んで、この作品がいわゆる『311後』の作ではないことを知り驚きました。 ただの自然現象によって分別も思慮も情けもなく薙ぎ払われる数々の命。 それを間近に見た人間の心情を、私は想像する事ができません。ましてや『311』を目の当たりにしなければ想像しようとも思えなかったしょう。20年遡れば、隣の都市で起こった阪神大震災を見てきたというのに。想像力を、プラスにもマイナスにも遠くにも近くにも飛び回らせられる著者の心が、少々恐ろしくなりました。青山真治監督の映画『ユリイカ』を思い出しましたが、物語の閉じ方の違いもあるにせよ、より心に強く残ったのは、この『光』でした。
逃走
犯罪そのものではなく、被害者や加害者、その家族の懊悩を丹念に描く著者お得意のスタイル。期待を裏切らず、あっという間に読み切ってしまえる面白さでした。 ただ、細かいところに気になる部分があります(『殺人』ではなく『傷害致死』?など)。 これも特徴といえるのでしょうが、文体にまだ軽さ粗さがあります。ストーリーやプロットは十分に高い質を持っているので、例えば奥田英朗さんのような筆力を手に入れたら、というのは望みが高すぎるでしょうか
天の梯
すべてが落ち着くところに落ち着いた、まさにそんな大団円。やはり、『偶然』重要人物に出くわすことが物語を大きく動かすが、確か江戸は当時世界で指折りの人口を抱える大都市。出来過ぎな印象は否めません。それでも一愛読者としてこの10巻目を待っていた身からすれば、そうしてでもこの結びにたどり着いてくれなければ暴動ものだったでしょうから、やむなし。。いつか全巻通して読み返してみたいシリーズでした。