違うタイプの意外性

1990年に刊行された初期の作品です。解説に書かれてあった作者談を読むと、正統の犯人捜しやトリックではなく、別の意味の意外性を創造した作品で、一番気に入っている意外性はラストの一行にあるとのこと。まさにその意外性がテーマの内容になっています。 その意外性はクライマックスへ向かってこれでもかというほどにたたみかけるように明らかにされていきます。 おもしろく読めましたが、あまりにも現実ばなれしていて、現実にはまずありえない内容でリアリティーには欠けていて、読後何となく面食らった感を感じたのはそのためだと思います。 序章で少年時代の回想シーンが象徴的に示され、発生する事件との関係で、刑事と容疑者の立場でまたしても再会することになる二人の生い立ちとともにストーリーが展開していきます。 発生する事件にしても、企業と医師協業の非人道的なある人体実験に端を発するもので意外性十分です。本作は東野氏の後の医療モノへとつながっていく作品ともなっています。