ずっと南国にいる気分で読み終えました。主人公の心の傷を軽くするのは、主人公以上に深い心の傷を持ちながらも、前向きに今を生きる心のあたたかい人たち。分かってみても、主要登場人物の過去が、揃いも揃ってみんな主人公以上に悲しいという設定には、なんとも言い難いものがありました。締めくくりはハッピーエンドのようでしたが、ある日突然姿を消して、何ヵ月も連絡せずとも暮らしていけた人間は、一度改心したつもりになっても、この先生きていく中で自分が耐えられない辛さだと感じられた時にはまた逃げるだろうな、と冷静になると、なんだか苦いものが口に残るようなエンディングでした。南国の風景や頬にあたる風はたえず脳裏に浮かび、感じられ、出産シーンにも自分がその場にいるような気持ちになれました。