夏の読書に

重松清さんの作品は初めてです。 大勢の中で何も残さずに生きるより、数少なくても何かを残して生きた少年の物語。 兄が放火事件を起こし、村八分状態に陥り離散した家族、学校でのいじめという、特殊な状況下ゆえに浮かび上がった、他人との関係性、個人の生き方に焦点をあてた秀逸な作品です。 主人公を「おまえ」と呼ぶ不思議な語り口ですが、それに慣れた作品後半で、その謎が氷解する演出も素敵。 その長く苦しい疾走の果て、死してなお残ったものが希望であったと救ってくれる作品です。