私たちは何になりたいのか

イスラエル人歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさんが著した『サピエンス全史』の下巻は、中世から科学革命を経て、現代までの人類史を俯瞰する。上巻同様、年代や事件を解説してするわけではなく、宗教、イデオロギー、科学革命、資本主義、産業革命といったキーワードを軸に掘り下げる。 いままでの歴史書とは視点が全く異なる本書だが、「科学革命は無知の革命」「産業革命はエネルギー変換における革命」というハラリさんの主張が、果たして本当にそうなのか、自分自身の頭で考察することが大切だし、ハラリさんもそれを読者に求めているような気がした。 終盤で、幸福とは何か、ホモ・サピエンスがまったく違うものに変容するのではないかという未来予測を述べる。人類が進化したらどうなるかという話は、アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』をはじめとして、SFでよく取り上げられるテーマだ。子どもや孫の世代では、そう劇的な変化は現れないかもしれない。 超ホモ・サピエンスの話はやや消化不良の感じがするが、次回作『ホモ・デウス』で明らかにされることを期待しつつ、「私たちは何になりたいのか」という問題意識を常に持ち続けるようにしよう。