私たち夫婦は宿の選択に当たって場所性を重視しています。場所性とは周辺の景観、宿の造り、歴史・文化性、聞こえる音、空気感、経営者の哲学・美意識などから構成されるものですが、それらの観点からは申し分のない旅館です。
今回の旅は歴史エリア訪問を中心に中国地方を車で一周するというやや弾丸ツアー的なもので、宿泊の核心は下関の日清講和条約締結の舞台春帆楼と城崎西村屋本館でした。到着が18時30分と予定を大幅に遅れたにもかかわらず、暖かな受入れ態勢、お話しした行程が即座に客室担当にも共有されて話が弾み、タイミングよく供される会席料理の上品な盛付けや味付けを家内と共に堪能いたしました。家内によればアメニティも女性目線でほぼ満足、ただ一点大浴場の洗い場の仕切りがあれば完璧と話しておりました。
1932年の5.15事件で海軍将校の凶弾に倒れた首相犬養毅が北但地震で壊滅的打撃を受けた城崎の再建を支援し、当時からその中心的な宿であった西村屋。そのブランドに対するスタッフのロイヤルティは、引き締まった表情や所作、犬養木堂の手になる扁額のかかる朝食会場におけるインバウンド客への対応等からも感じられました。
展示室には「来客如帰(来たる客帰るがごとし)」の扁額がありましたが、これが西村屋のおもてなしの精神なのでしょう。私たち夫婦の感性にピッタリのこの宿を今後の定宿とさせていただくことを決め、来年の予約をお願いいたしました。心地の良い滞在でした。
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