◆歯科衛生士「上野清香」氏による『だだっこ かんしゃく 人見知り… 子どもの“困った”をなおすママの言葉かけ』(2021) は、一見、普通の育児本のように見えますが、読み進めていくと後半の「第5章」(p.157) で、《舌癒着症》という聞き慣れない用語が唐突に出てきます。 《舌癒着症》とは、一般的な医学書には見られない疾患名であり、ごく一部の者のみが用いている概念であると思われます。 《舌癒着症》に対する手術は自費診療で行われています。これは、保険診療で行われている「舌小帯短縮症」や「上唇小帯短縮症」の手術とは全く別のものです。 ◆私自身、13年前、ある医師から《舌癒着症》であると診断され、「舌」と「上唇小帯」の手術を同時に受けるように何度も勧められ手術を受けることになりましたが、その結果、鼻や鼻の穴に変形が起き、それを修復するために形成外科で新たに手術を受けなければならなくなるという大変な目に遭いました。 なぜ、鼻や鼻の穴が変形するという思いも寄らない事態が発生したのでしょうか。それは、この手術が「上唇小帯」だけでなく「顔の筋肉 (表情筋) 」までをもレーザーメスで焼き切ってしまう侵襲の非常に大きな手術であるからです。 《舌癒着症》という一般的でない疾患名のもと、このような侵襲や事後の影響の大きな施術がなされていること自体、問題であると私は思っています。 赤ちゃんや小さなお子さんに安易に受けさせてしまえるような手術ではないとも思っています。手術内容を全て知らされた上で、「それでも受けてみたい」と考える方のみが受けるものであるべきです。 ◆『だだっこ かんしゃく 人見知り… 子どもの“困った”をなおすママの言葉かけ』の巻末には「上野清香」氏がおすすめしていると思われる医療機関リストが紹介されています。 そこには《舌癒着症》の手術をブログやSNSで宣伝している歯科医や眼鏡店店長 、「日本舌癒着症学会」会員の内科医や歯科医、《舌癒着症コンサルタント》を名乗っている歯科医や歯科衛生士なども含まれています。 普通の育児本だと思ってこの本を手に取った読者の方が、それをきっかけにして《舌癒着症》と関係の深い医師につながっていってしまわないか、強い危惧を覚えます。
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だだっ子 かんしゃく 人見知り… 子どもの“困った”をなおす ママの言葉かけ
◆歯科衛生士「上野清香」氏による『だだっこ かんしゃく 人見知り… 子どもの“困った”をなおすママの言葉かけ』(2021) は、一見、普通の育児本のように見えますが、読み進めていくと後半の「第5章」(p.157) で、《舌癒着症》という聞き慣れない用語が唐突に出てきます。 《舌癒着症》とは、一般的な医学書には見られない疾患名であり、ごく一部の者のみが用いている概念であると思われます。 《舌癒着症》に対する手術は自費診療で行われています。これは、保険診療で行われている「舌小帯短縮症」や「上唇小帯短縮症」の手術とは全く別のものです。 ◆私自身、13年前、ある医師から《舌癒着症》であると診断され、「舌」と「上唇小帯」の手術を同時に受けるように何度も勧められ手術を受けることになりましたが、その結果、鼻や鼻の穴に変形が起き、それを修復するために形成外科で新たに手術を受けなければならなくなるという大変な目に遭いました。 なぜ、鼻や鼻の穴が変形するという思いも寄らない事態が発生したのでしょうか。それは、この手術が「上唇小帯」だけでなく「顔の筋肉 (表情筋) 」までをもレーザーメスで焼き切ってしまう侵襲の非常に大きな手術であるからです。 《舌癒着症》という一般的でない疾患名のもと、このような侵襲や事後の影響の大きな施術がなされていること自体、問題であると私は思っています。 赤ちゃんや小さなお子さんに安易に受けさせてしまえるような手術ではないとも思っています。手術内容を全て知らされた上で、「それでも受けてみたい」と考える方のみが受けるものであるべきです。 ◆『だだっこ かんしゃく 人見知り… 子どもの“困った”をなおすママの言葉かけ』の巻末には「上野清香」氏がおすすめしていると思われる医療機関リストが紹介されています。 そこには《舌癒着症》の手術をブログやSNSで宣伝している歯科医や眼鏡店店長 、「日本舌癒着症学会」会員の内科医や歯科医、《舌癒着症コンサルタント》を名乗っている歯科医や歯科衛生士なども含まれています。 普通の育児本だと思ってこの本を手に取った読者の方が、それをきっかけにして《舌癒着症》と関係の深い医師につながっていってしまわないか、強い危惧を覚えます。