著者の作品は、硬派な小説から軽いエッセイまでそれなりに読んでいましたが、この自伝的エッセイは、恐らく自分の娘世代や今の若者に向けた先達としての本音が詰まっていて、筆致も、分かりやすく語りかけるような読みやすい本です。 でも、中身は、結構痛烈。過去の自分の同僚やその他巷で話題の生活スタイルなどを「一流」「二流」「三流」と容赦なく分類しています。でも、現状に甘んじず、貪欲に自分の可能性を超えて努力しないと、中途半端で不満の残る冴えない人生になってしまう、というメッセージを、ショック療法的な切迫性をもって次の世代に伝えようという熱意の表れかと思います。 あと、終わりのほうで、なかなか他の著作からは窺われない、家族への思いや子供との関係などが垣間見えるのもよいです。 そして、今や著者が文化人的な位置づけにあることにすっかり世間も慣れてしまっていますが、本書にここぞとばかり散りばめられている昔の写真が、ある種キワモノ的でもあった著者のマスコミにおける姿を思い出させてくれ、本書で著者が伝えたかった「野心」の偉大さを感じさせてくれます。
脳について既にたくさんの著書を書いている池谷さんですが、本書も、その不思議な機能について、出典を明らかにしながら、飾ったりとっぴな飛躍をすることなく丁寧に、しかも素人にも分かりやすく解説されています。 ヒトが自分の自由な意思でやっていると思っていることが、実はそれまでの経験等に決定づけられて脳が反射的に行い、「意思」は数秒遅れで後付けで形成されるというところは、本書の肝となる部分の一つですが、やはり衝撃的でした!
前作に当たる「美人とは何か」で展開した各論のうち、日本女性特有の自意識を「姥皮」と名づけ、あらゆる事象をその観点で掘り下げています。 女性の間で出過ぎないように「姥皮」を被り思いっきり三枚目を演じるものの、女子校など女子だけ文化の中ではそれが通じても、一歩外に出ると男性たちには姥皮が通じない悲哀や、姥皮文化に縛られない男性たちは、中年の醜男でも(美を標準にすると)分不相応に自信満々・・・とか、実生活でも何となく不思議なまま受け入れていたことが合点が行き、さすが鋭い、慧眼だわ、と納得させられました。
軽めのエッセイやインタビューなどで筆者の書いたものはよく見てはいたのですが、この本では、同時進行で整形を重ねる中で、筆者が、特に女性にとっての美とは何かをどんどん深堀りしていく過程が綴られていて、考えさせられちゃうというか、結構じっくり読ませてくれてしまう内容でした。 モテたいから美人になりたいという整形の原動力のところはあんまり理解できないのですが、でもよくよく突き詰めると、筆者の整形は他者の視点ではなく、あくまで自分が満足できるかどうか。だから、前の顔のほうが好ましいといったタモリ氏に対し、「あなたのために整形したわけじゃないですから」と即答することになります。 女子なら誰でも(無意識かもしれないけど)多かれ少なかれ幼少時から自分が目にどう映るかを意識し、他の女性を見るときにも、一旦、当人の視点になってみて、だからこそブスを放置して堂々としている傲慢さが許せない・・・みたいなことになる。そこらへんのことを正面切って議論されているのはなかなか見たことがないですが、非常に説得力がありました。 巻末の小谷野敦氏との対談は、徹頭徹尾、どこまで言っても交わらない平面の上で受け手のない会話のキャッチボールが交わされていましたが、小谷野さんの考え方というか女性や自分を見る視点というのは、何割かの男性に非常に顕著に見られる典型的なものがぎゅーっと凝縮されてる感じなので、最も女性的な視点と最も男性的な視点が歩み寄らずにガチンコ勝負するとこうなるのか。。。という感じで、大変興味深かったです。
最近のダイエット本の中でとても評価が高いので、興味もあって購入しました。とにかく著者のわたなべぽんさんの観察眼と分析力、自らを客観視して表現する力、そして95キロを65キロにまで1年間かけてゆっくり落とすという実行力に脱帽です。 スリム美人の生活を徹底的にウォッチし、その真似をする・・・という理論的には単純な方式なのですが、まず、著者がスリム美人を観察したり友人を取材したりして、日ごろの過ごし方やストレスの発散の仕方が如何に違うかを発見するところから始まる。逆に言うと、なかなか窺い知ることのできない90キロ級の方々の日常も垣間見ることができ、読み物としてもとても面白いです。
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野心のすすめ
著者の作品は、硬派な小説から軽いエッセイまでそれなりに読んでいましたが、この自伝的エッセイは、恐らく自分の娘世代や今の若者に向けた先達としての本音が詰まっていて、筆致も、分かりやすく語りかけるような読みやすい本です。 でも、中身は、結構痛烈。過去の自分の同僚やその他巷で話題の生活スタイルなどを「一流」「二流」「三流」と容赦なく分類しています。でも、現状に甘んじず、貪欲に自分の可能性を超えて努力しないと、中途半端で不満の残る冴えない人生になってしまう、というメッセージを、ショック療法的な切迫性をもって次の世代に伝えようという熱意の表れかと思います。 あと、終わりのほうで、なかなか他の著作からは窺われない、家族への思いや子供との関係などが垣間見えるのもよいです。 そして、今や著者が文化人的な位置づけにあることにすっかり世間も慣れてしまっていますが、本書にここぞとばかり散りばめられている昔の写真が、ある種キワモノ的でもあった著者のマスコミにおける姿を思い出させてくれ、本書で著者が伝えたかった「野心」の偉大さを感じさせてくれます。
脳には妙なクセがある
脳について既にたくさんの著書を書いている池谷さんですが、本書も、その不思議な機能について、出典を明らかにしながら、飾ったりとっぴな飛躍をすることなく丁寧に、しかも素人にも分かりやすく解説されています。 ヒトが自分の自由な意思でやっていると思っていることが、実はそれまでの経験等に決定づけられて脳が反射的に行い、「意思」は数秒遅れで後付けで形成されるというところは、本書の肝となる部分の一つですが、やはり衝撃的でした!
「イタい女」の作られ方
前作に当たる「美人とは何か」で展開した各論のうち、日本女性特有の自意識を「姥皮」と名づけ、あらゆる事象をその観点で掘り下げています。 女性の間で出過ぎないように「姥皮」を被り思いっきり三枚目を演じるものの、女子校など女子だけ文化の中ではそれが通じても、一歩外に出ると男性たちには姥皮が通じない悲哀や、姥皮文化に縛られない男性たちは、中年の醜男でも(美を標準にすると)分不相応に自信満々・・・とか、実生活でも何となく不思議なまま受け入れていたことが合点が行き、さすが鋭い、慧眼だわ、と納得させられました。
美人とは何か?
軽めのエッセイやインタビューなどで筆者の書いたものはよく見てはいたのですが、この本では、同時進行で整形を重ねる中で、筆者が、特に女性にとっての美とは何かをどんどん深堀りしていく過程が綴られていて、考えさせられちゃうというか、結構じっくり読ませてくれてしまう内容でした。 モテたいから美人になりたいという整形の原動力のところはあんまり理解できないのですが、でもよくよく突き詰めると、筆者の整形は他者の視点ではなく、あくまで自分が満足できるかどうか。だから、前の顔のほうが好ましいといったタモリ氏に対し、「あなたのために整形したわけじゃないですから」と即答することになります。 女子なら誰でも(無意識かもしれないけど)多かれ少なかれ幼少時から自分が目にどう映るかを意識し、他の女性を見るときにも、一旦、当人の視点になってみて、だからこそブスを放置して堂々としている傲慢さが許せない・・・みたいなことになる。そこらへんのことを正面切って議論されているのはなかなか見たことがないですが、非常に説得力がありました。 巻末の小谷野敦氏との対談は、徹頭徹尾、どこまで言っても交わらない平面の上で受け手のない会話のキャッチボールが交わされていましたが、小谷野さんの考え方というか女性や自分を見る視点というのは、何割かの男性に非常に顕著に見られる典型的なものがぎゅーっと凝縮されてる感じなので、最も女性的な視点と最も男性的な視点が歩み寄らずにガチンコ勝負するとこうなるのか。。。という感じで、大変興味深かったです。
スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました
最近のダイエット本の中でとても評価が高いので、興味もあって購入しました。とにかく著者のわたなべぽんさんの観察眼と分析力、自らを客観視して表現する力、そして95キロを65キロにまで1年間かけてゆっくり落とすという実行力に脱帽です。 スリム美人の生活を徹底的にウォッチし、その真似をする・・・という理論的には単純な方式なのですが、まず、著者がスリム美人を観察したり友人を取材したりして、日ごろの過ごし方やストレスの発散の仕方が如何に違うかを発見するところから始まる。逆に言うと、なかなか窺い知ることのできない90キロ級の方々の日常も垣間見ることができ、読み物としてもとても面白いです。