戦前の帝国陸海軍は徴兵制であり、また召集もありました。そのため部隊に社会人経験者や所帯持ちも少なくなく、筆者自体も新聞記者でした。記者の目で描写する前線の様子は主に人間模様で、兵営内と違い平話で言葉を交わす伍長と一等兵(筆者ら)や、水の調達先がクリークしかないので酷い臭気を放つ飯盒の食事などが印象的です。支那の水の汚さは悠久の昔からの悪癖で、排泄物はおろか動物の死骸までも川に流したり放っておいたり(つまり有効な処理をしない。昨今のPM2.5問題や環境汚染で明白ですね)で土壌を含め汚染がひどく、ために赤痢患者が出たりと戦死よりも忌み嫌われる有様だった様です。 少々値段は張りますが、戦前の一幕を知る意味でも一読の価値はあります。
昭和四年に陸軍憲兵上等兵を拝命した筆者は、赴任先の山形県で実績を積んでいたところ、満州派遣志願者を募りに来た将校が語る、『在ハルピン米国総領事の暗号表奪取』 秘話に胸を躍らせます。 晴れて満州の土を踏んだ筆者は、在満三年にして赴任した首都新京にて、今ひとつ振るわない対ソ防諜において居並ぶ諸先輩に臆さず “活きのいい” 持論を開陳し、その意気を買われて新編成の防諜班の班長に任ぜられます。 以後、ソ連のKGBに訓練され潜伏しているスパイや無線通信員を調査し、一件ごとに丹念な証拠集めの末に隠密検挙を重ねていきます。一方では持ち前の義侠心を発揮して彼らを日本側へ寝返らせ、逆スパイとして工作に活用します。更にはモスクワとそれらスパイを繋ぐ “交通員” に意中の人間を潜り込ませ、ぶ厚い秘密のヴェールに閉ざされていたソ連の内情を探らせるなど、新たな情報を入手していきます。 中でも白眉なのは、昭和三年の三・一五事件で検挙され、転向を偽って満州へ逃れた卑劣な日本共産党の残党の暗躍を壊滅させた逸話に尽きます。 罪のレベルで言えばあからさまに 『国事犯』 ですが、検挙当時の筆者はそれほど大それた悪事を働いていたとは露ほども疑わず、首魁を始め被告たちに対して従前からの温情で接し、遂には連中の心服を勝ち取って真実の告白を導き出したのでした。 在満共産主義者どもの天をも恐れぬ壮大な国家転覆計画を目の当たりにし、筆者は大日本帝国の行く末を危ぶみながら、この驚異の事実を上官に報告します。報告はさらに憲兵司令部の上層部まで達しますが、帝国陸軍首脳部の沽券と国家の指導方針にも波及を免れないこの案件は、以降の取り調べを停止されてしまったそうです。 その他も、諜報・防諜ばかりではなく筆者が通常の憲兵任務に就いている際の被疑者たちへの接し方などにも触れられ、憲兵が威圧や権威のみで務まる仕事ではなく、やはり人と人が対しているからには最終的に人間性と尊厳の重視こそが解決と再犯の予防に繋がる旨が綴られています。 戦前の防諜部隊の活躍と弱点を理解するのみならず、現在他の先進国に比肩できる情報組織を持たない戦後日本の在り方について、多くの示唆に富んだ本です。読んでおいて損はありません。
日本の女流漫画家の草分けである上田としこ女史の人生を、戦前の日本の様子や女性の社会進出と並行させ、併せて戦後の漫画業界の発展を描いた、娯楽面ばかりではなく資料性の高い良作です。 内容をくだくだしくネタバレさせる様な事はレビューしません。十巻全巻揃えても元が取れるばかりか、おそらく孫子(まごこ)の代までも楽しめると思います。
前作 『9番目の戦車』 に続く作品です。今回のテーマはシンプルなので、より取っ付き易いかと思います。 やはり家族の愛と絆を主題に据えたのが良かったのだと思います。 保守のお母さんはこの絵本を読んであげてください。
『日本はアジアを荒らした凶悪な侵略国。それを懲らしめ、民主主義を教えたアメリカは正義の国』とは、悔しくも日本のみならず、アメリカの教科書でも教えられている “アメリカ製デマゴーグ” であることは徐々に本邦でも知れ渡りつつあります。 実はこの捏造話は、戦後日本に乗り込んできたGHQがデッチ上げた話ではなく、戦前から連綿と続く根深く巧緻な数多(あまた)の工作の賜物なのです。 本書にはその根源である第三インターナショナル(以下コミンテルン)の発足から、工作の中心となったアメリカ共産党の発展進捗、そして保守派の消長までが簡潔かつ詳細に紹介されています。 コミンテルンの具体的な暗躍は本文に譲りますが、そもそも極端にキリスト教に傾倒した民主主義国家であったアメリカで、宗教を排斥し暴力革命を肯定する共産勢力がアメリカ社会各層に浸透できたかと申しますと―― ・無闇やたらと「デモクラシー」擁護を強調する ・敵対者は「ファシスト」「軍国主義者」「差別主義者」とレッテル貼りする ・反戦や平和運動、人道主義を標榜してイメージを軟化させる ・福祉や社会保障の充実を訴えて世間の関心を買う そのために結成したのが、“平和とデモクラシーを守る統一人民戦線” という団体でした――オヤ?皆さんは似た様な感じの頭のおかしいチンドン愚連隊が先ごろ解散したとかしないとか、お耳に挟まれた事はございませんか?? それでも八十年前のアメリカではこの “詐術” が十分通用して、メディアはおろか教育界やプロテスタント系宗教界までほぼ完全に把握されてしまったといいますから侮れません。無論、連中はこの二十一世紀の現在も隠然かつ厳然とアメリカ社会に影響力を行使しているのですから。 そんなこんなで、日本の比ではない程にすっかり共産主義勢力に良い様に操られ続けていた(本書の表現を借りますと『朝日新聞と赤旗しかない』)アメリカ社会でも、いわゆる 『ヴェノナ文書』 の公開により、徐々に保守派の復権と発言の広がりを見せているとの事です。 本書と併せまして、ジェイソン・モーガン氏の 『アメリカはなぜ日本を見下すのか? - 間違いだらけの「対日歴史観」を正す』 も読まれるとより理解が進むものと思われます。 今後の日米関係のあり方を考えるうえでも、またコミンテルンの使いっ走りどもの手口を看破する知識としても有用な良書だと思います。
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復刻版一等兵戦死
戦前の帝国陸海軍は徴兵制であり、また召集もありました。そのため部隊に社会人経験者や所帯持ちも少なくなく、筆者自体も新聞記者でした。記者の目で描写する前線の様子は主に人間模様で、兵営内と違い平話で言葉を交わす伍長と一等兵(筆者ら)や、水の調達先がクリークしかないので酷い臭気を放つ飯盒の食事などが印象的です。支那の水の汚さは悠久の昔からの悪癖で、排泄物はおろか動物の死骸までも川に流したり放っておいたり(つまり有効な処理をしない。昨今のPM2.5問題や環境汚染で明白ですね)で土壌を含め汚染がひどく、ために赤痢患者が出たりと戦死よりも忌み嫌われる有様だった様です。 少々値段は張りますが、戦前の一幕を知る意味でも一読の価値はあります。
諜報憲兵
昭和四年に陸軍憲兵上等兵を拝命した筆者は、赴任先の山形県で実績を積んでいたところ、満州派遣志願者を募りに来た将校が語る、『在ハルピン米国総領事の暗号表奪取』 秘話に胸を躍らせます。 晴れて満州の土を踏んだ筆者は、在満三年にして赴任した首都新京にて、今ひとつ振るわない対ソ防諜において居並ぶ諸先輩に臆さず “活きのいい” 持論を開陳し、その意気を買われて新編成の防諜班の班長に任ぜられます。 以後、ソ連のKGBに訓練され潜伏しているスパイや無線通信員を調査し、一件ごとに丹念な証拠集めの末に隠密検挙を重ねていきます。一方では持ち前の義侠心を発揮して彼らを日本側へ寝返らせ、逆スパイとして工作に活用します。更にはモスクワとそれらスパイを繋ぐ “交通員” に意中の人間を潜り込ませ、ぶ厚い秘密のヴェールに閉ざされていたソ連の内情を探らせるなど、新たな情報を入手していきます。 中でも白眉なのは、昭和三年の三・一五事件で検挙され、転向を偽って満州へ逃れた卑劣な日本共産党の残党の暗躍を壊滅させた逸話に尽きます。 罪のレベルで言えばあからさまに 『国事犯』 ですが、検挙当時の筆者はそれほど大それた悪事を働いていたとは露ほども疑わず、首魁を始め被告たちに対して従前からの温情で接し、遂には連中の心服を勝ち取って真実の告白を導き出したのでした。 在満共産主義者どもの天をも恐れぬ壮大な国家転覆計画を目の当たりにし、筆者は大日本帝国の行く末を危ぶみながら、この驚異の事実を上官に報告します。報告はさらに憲兵司令部の上層部まで達しますが、帝国陸軍首脳部の沽券と国家の指導方針にも波及を免れないこの案件は、以降の取り調べを停止されてしまったそうです。 その他も、諜報・防諜ばかりではなく筆者が通常の憲兵任務に就いている際の被疑者たちへの接し方などにも触れられ、憲兵が威圧や権威のみで務まる仕事ではなく、やはり人と人が対しているからには最終的に人間性と尊厳の重視こそが解決と再犯の予防に繋がる旨が綴られています。 戦前の防諜部隊の活躍と弱点を理解するのみならず、現在他の先進国に比肩できる情報組織を持たない戦後日本の在り方について、多くの示唆に富んだ本です。読んでおいて損はありません。
フイチン再見!(10)
日本の女流漫画家の草分けである上田としこ女史の人生を、戦前の日本の様子や女性の社会進出と並行させ、併せて戦後の漫画業界の発展を描いた、娯楽面ばかりではなく資料性の高い良作です。 内容をくだくだしくネタバレさせる様な事はレビューしません。十巻全巻揃えても元が取れるばかりか、おそらく孫子(まごこ)の代までも楽しめると思います。
お父さんへの千羽鶴
前作 『9番目の戦車』 に続く作品です。今回のテーマはシンプルなので、より取っ付き易いかと思います。 やはり家族の愛と絆を主題に据えたのが良かったのだと思います。 保守のお母さんはこの絵本を読んであげてください。
アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄
『日本はアジアを荒らした凶悪な侵略国。それを懲らしめ、民主主義を教えたアメリカは正義の国』とは、悔しくも日本のみならず、アメリカの教科書でも教えられている “アメリカ製デマゴーグ” であることは徐々に本邦でも知れ渡りつつあります。 実はこの捏造話は、戦後日本に乗り込んできたGHQがデッチ上げた話ではなく、戦前から連綿と続く根深く巧緻な数多(あまた)の工作の賜物なのです。 本書にはその根源である第三インターナショナル(以下コミンテルン)の発足から、工作の中心となったアメリカ共産党の発展進捗、そして保守派の消長までが簡潔かつ詳細に紹介されています。 コミンテルンの具体的な暗躍は本文に譲りますが、そもそも極端にキリスト教に傾倒した民主主義国家であったアメリカで、宗教を排斥し暴力革命を肯定する共産勢力がアメリカ社会各層に浸透できたかと申しますと―― ・無闇やたらと「デモクラシー」擁護を強調する ・敵対者は「ファシスト」「軍国主義者」「差別主義者」とレッテル貼りする ・反戦や平和運動、人道主義を標榜してイメージを軟化させる ・福祉や社会保障の充実を訴えて世間の関心を買う そのために結成したのが、“平和とデモクラシーを守る統一人民戦線” という団体でした――オヤ?皆さんは似た様な感じの頭のおかしいチンドン愚連隊が先ごろ解散したとかしないとか、お耳に挟まれた事はございませんか?? それでも八十年前のアメリカではこの “詐術” が十分通用して、メディアはおろか教育界やプロテスタント系宗教界までほぼ完全に把握されてしまったといいますから侮れません。無論、連中はこの二十一世紀の現在も隠然かつ厳然とアメリカ社会に影響力を行使しているのですから。 そんなこんなで、日本の比ではない程にすっかり共産主義勢力に良い様に操られ続けていた(本書の表現を借りますと『朝日新聞と赤旗しかない』)アメリカ社会でも、いわゆる 『ヴェノナ文書』 の公開により、徐々に保守派の復権と発言の広がりを見せているとの事です。 本書と併せまして、ジェイソン・モーガン氏の 『アメリカはなぜ日本を見下すのか? - 間違いだらけの「対日歴史観」を正す』 も読まれるとより理解が進むものと思われます。 今後の日米関係のあり方を考えるうえでも、またコミンテルンの使いっ走りどもの手口を看破する知識としても有用な良書だと思います。