愛読書の類に入るのではあるが、何度読んでも小難しい理屈っぽい本である。シェーンベルグによる「和声法」「対位法」に続く第3の書であり、特別な作曲の才能を持たない「一般の学生(および先生)」を対象に作曲の理論を題材としている。構成は大きく分けて2つ。前半はベートーヴェンのピアノソナタを中心にして楽曲解析により楽句、動機(モティーフ)の作り方、扱い方について(注:決してメロディーの作り方ではない!!)実践的に述べている。「原則こうだから(素人のあなたたちは)それに則ってまずは動機のスケッチをいろいろ書きなさい」と。いや、理屈は確かに納得できるんだけれども、それさえできないから素人は苦労してるんだって……。後半は、音楽の形式論。小三部形式や単純な舞曲形式(小形式)を扱う第1部と、ロンド形式、ソナタ・アレグロ形式(大形式)を扱う第2部からなる。それぞれの形式の中でいかに楽句・動機を扱い、展開していくかがさらっと述べられている。もう一度言います。素人を対象としているとはいえはっきり言って小難しい本です。でも譜例もたくさん載っており勉強にはなります。この本を読んだからと言って作曲ができるようになるわけではないんだけれども、知っておかなければならない知識はぎっしりです。
音楽を演奏する人よりも、聞く人を対象とした簡易版オーケストレーションおよびミニスコアリーディングの入門書。各楽器の簡単な各論から入り、その後にポケットスコアの読み方と実際の演奏でどのような効果を生み出しているのかをオケオーディエンス初心者にもわかりやすく書かれている。スコアの引用も多く非常にわかりやすい。「そうそう、そうだよね」と納得しながら読んだのがあの有名なベートーヴェンの第5交響曲「運命」の出だし「ジャジャジャジャ~ン、ジャジャジャジャ~ン」。実は楽譜にはそんな風には書いていなくて「ンジャジャジャジャ~ン、ンジャジャジャジャ~~~ン」であり、モチーフの最初に休符があること(この最初の休符が重要!!)と、2回目は二分音符が一小節追加されていて5小節のイントロであることの説明なのだ。個人的には「木管楽器と金管楽器では移調楽器の意味が本質的に違う」という記述で目から鱗がボロボロ落ちました。薄い本ですぐ読めてしまうんですけれども内容はおどろくほど充実しているので一読の価値は絶対にあり。強くおすすめです。
金持ち、貧乏に限らず、死んだら相続手続きが発生するわけで、残された家族のためにも「遺言書」を活用しましょうというものと、(主に)老後の自分の意思尊重としての「生前3点セット」の薦め。「やっぱりちゃんと法的根拠に基づいた遺言書を書いておきたいな、ついでに生前3点セットも」と自然と思える内容。また準備には周りの了解を得ておくことも重要だそうだ。その上で、遺言書、生前3点セットの「費用対効果」を謳っている。タイトルがインパクトあるし、普通の一般円満家庭でも十分に役に立つ情報ではあるんじゃないかな。財産がなくても「遺言書」は必要だと言うことがよく分かります。
これまでも、ダーウィン進化論信奉者であるリチャード・ドーキンスがいわゆる創造論に異を唱えることはあったが、本著はまるまる一冊脱宗教本であり、無神論のすすめと無神論者へのエールなのである。宗教対立による戦争が絶えない昨今であるがドーキンスは「あらゆる宗教が互いに尊重し合い認め合う」という立場さえとらず、宗教そのものが諸悪の根源であることを理詰めで解説する。神が存在しない理由、宗教と道徳は別であること、宗教の最大の敵は理性であること、子供が自分自身で判断できるようになるまで宗教的な教育をすべきでないことを説く。宗教的中庸な穏健派であっても、それが原理主義者をのさばらせてしまう土壌を形成してしまう。その結果、政教分離の下建国したアメリカがいまや世界でもっとも原理主義的なキリスト教国になってしまっている(これをドーキンスは「アメリカのタリバン」と呼んでいる)。ジョン・レノンとともに、宗教のない世界を想像(イマジン)してみてほしい。
九州の水郷都市・箭納倉(やなくら)で、老女ばかり三件の失踪事件が相次いだ。消えた女性はみな掘り割りに面した家に住んでおり、しばらくするとみなひょっこりと帰ってきた。失踪中の記憶を失ったまま……。事件に興味を持った元大学教授の協一郎ら4人は<人間もどき>と<それ>の存在に気付く。下敷きになっているのはジャック・フィニの「盗まれた街」(映画「ボディ・スナッチャー」の原作)で、作品中にも登場する。しかぁし、これがまたうまいこと使われているんだよなぁ。早々にこのネタを登場させて読者に「SF怪奇もの」という先入観を与えておきながら、ラストは全然違うところに着地する。<それ>による「人類補完計画」だったとは……。ん~~うまい。素直におもしろかった。読み始めたら止められないんだもんなぁ。結局<それ>の正体は明かされないし、町中の人が消えた時にすでに相当数いたはずの<人間もどき>の存在は?とか思っちゃうところもあるけれども、水郷都市の郷愁描写が心理描写と相まって緊張感を高める効果は秀逸。ついでながら告白すると、恩田陸ってこの本のあとがきを読むまでずっと男性だと思っていた……。
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作曲の基礎技法
愛読書の類に入るのではあるが、何度読んでも小難しい理屈っぽい本である。シェーンベルグによる「和声法」「対位法」に続く第3の書であり、特別な作曲の才能を持たない「一般の学生(および先生)」を対象に作曲の理論を題材としている。構成は大きく分けて2つ。前半はベートーヴェンのピアノソナタを中心にして楽曲解析により楽句、動機(モティーフ)の作り方、扱い方について(注:決してメロディーの作り方ではない!!)実践的に述べている。「原則こうだから(素人のあなたたちは)それに則ってまずは動機のスケッチをいろいろ書きなさい」と。いや、理屈は確かに納得できるんだけれども、それさえできないから素人は苦労してるんだって……。後半は、音楽の形式論。小三部形式や単純な舞曲形式(小形式)を扱う第1部と、ロンド形式、ソナタ・アレグロ形式(大形式)を扱う第2部からなる。それぞれの形式の中でいかに楽句・動機を扱い、展開していくかがさらっと述べられている。もう一度言います。素人を対象としているとはいえはっきり言って小難しい本です。でも譜例もたくさん載っており勉強にはなります。この本を読んだからと言って作曲ができるようになるわけではないんだけれども、知っておかなければならない知識はぎっしりです。
はじめてのオーケストラ・スコア
音楽を演奏する人よりも、聞く人を対象とした簡易版オーケストレーションおよびミニスコアリーディングの入門書。各楽器の簡単な各論から入り、その後にポケットスコアの読み方と実際の演奏でどのような効果を生み出しているのかをオケオーディエンス初心者にもわかりやすく書かれている。スコアの引用も多く非常にわかりやすい。「そうそう、そうだよね」と納得しながら読んだのがあの有名なベートーヴェンの第5交響曲「運命」の出だし「ジャジャジャジャ~ン、ジャジャジャジャ~ン」。実は楽譜にはそんな風には書いていなくて「ンジャジャジャジャ~ン、ンジャジャジャジャ~~~ン」であり、モチーフの最初に休符があること(この最初の休符が重要!!)と、2回目は二分音符が一小節追加されていて5小節のイントロであることの説明なのだ。個人的には「木管楽器と金管楽器では移調楽器の意味が本質的に違う」という記述で目から鱗がボロボロ落ちました。薄い本ですぐ読めてしまうんですけれども内容はおどろくほど充実しているので一読の価値は絶対にあり。強くおすすめです。
その死に方は、迷惑です -遺言書と生前三点契約書
金持ち、貧乏に限らず、死んだら相続手続きが発生するわけで、残された家族のためにも「遺言書」を活用しましょうというものと、(主に)老後の自分の意思尊重としての「生前3点セット」の薦め。「やっぱりちゃんと法的根拠に基づいた遺言書を書いておきたいな、ついでに生前3点セットも」と自然と思える内容。また準備には周りの了解を得ておくことも重要だそうだ。その上で、遺言書、生前3点セットの「費用対効果」を謳っている。タイトルがインパクトあるし、普通の一般円満家庭でも十分に役に立つ情報ではあるんじゃないかな。財産がなくても「遺言書」は必要だと言うことがよく分かります。
神は妄想である
これまでも、ダーウィン進化論信奉者であるリチャード・ドーキンスがいわゆる創造論に異を唱えることはあったが、本著はまるまる一冊脱宗教本であり、無神論のすすめと無神論者へのエールなのである。宗教対立による戦争が絶えない昨今であるがドーキンスは「あらゆる宗教が互いに尊重し合い認め合う」という立場さえとらず、宗教そのものが諸悪の根源であることを理詰めで解説する。神が存在しない理由、宗教と道徳は別であること、宗教の最大の敵は理性であること、子供が自分自身で判断できるようになるまで宗教的な教育をすべきでないことを説く。宗教的中庸な穏健派であっても、それが原理主義者をのさばらせてしまう土壌を形成してしまう。その結果、政教分離の下建国したアメリカがいまや世界でもっとも原理主義的なキリスト教国になってしまっている(これをドーキンスは「アメリカのタリバン」と呼んでいる)。ジョン・レノンとともに、宗教のない世界を想像(イマジン)してみてほしい。
月の裏側
九州の水郷都市・箭納倉(やなくら)で、老女ばかり三件の失踪事件が相次いだ。消えた女性はみな掘り割りに面した家に住んでおり、しばらくするとみなひょっこりと帰ってきた。失踪中の記憶を失ったまま……。事件に興味を持った元大学教授の協一郎ら4人は<人間もどき>と<それ>の存在に気付く。下敷きになっているのはジャック・フィニの「盗まれた街」(映画「ボディ・スナッチャー」の原作)で、作品中にも登場する。しかぁし、これがまたうまいこと使われているんだよなぁ。早々にこのネタを登場させて読者に「SF怪奇もの」という先入観を与えておきながら、ラストは全然違うところに着地する。<それ>による「人類補完計画」だったとは……。ん~~うまい。素直におもしろかった。読み始めたら止められないんだもんなぁ。結局<それ>の正体は明かされないし、町中の人が消えた時にすでに相当数いたはずの<人間もどき>の存在は?とか思っちゃうところもあるけれども、水郷都市の郷愁描写が心理描写と相まって緊張感を高める効果は秀逸。ついでながら告白すると、恩田陸ってこの本のあとがきを読むまでずっと男性だと思っていた……。