フィクションという名のノンフィクション。

実に胸糞の悪い話だ。タイ山岳地帯に住まう8歳の少女が父親に売られるところから物語は始まる。幼児売春・臓器売買、マフィア、軍警察、政治家の癒着と延々と続く政治腐敗の連鎖。本書ではタイにスポットを当てているが、中国、チェチェン、ウクライナ・・かつての「チャウシェスクの子供達」そして日本国内も例外ではないし、成人女性も男性も「商品」となり得る・・闇の組織は全世界に繋がっている。ジャーナリスト南部の咄嗟に出た本音に力無い自分を責めたくもなった。ヤン・ソギル氏の文体は簡潔でスピード感があり、読者を引き込む力があります。読者に思考を委ね突き放すようなラストは大変好みでした。本書に興味を持った方には「ヒューマン・トラフィック」 という映画もオススメします。