天才高校生投手の悲劇
タイトル、本の帯から軽いタッチの作品かと思っていたのですが、単なるミステリーではなく重厚感があり、読み応えのある作品でした。一言でいえば、無名校に現れた孤高の天才高校生ピッチャーの悲劇が描かれています。これまで読んだ東野作品の中でも最も古い時代設定の作品でした(主人公は昭和39年の高校生)。
やけに大人びていて翳りのある須田武志。彼の持つ独特な雰囲気は彼の不幸な生い立ちが関係していることが明らかになっていきます。そして刑事が憂えた嫌な予感のとおり、本作で起きた事件の根幹はすべて主人公の不幸な境遇に帰結するというやるせない結末でした。 クライマックスへ向かって真相が明らかになっていくなかで、ゾクゾク感で軽い寒気を感じるところもありました。2つ目の残忍な事件の顛末は常軌を逸していて飛躍しすぎていると感じる部分もありますが、ミステリーでありながらヒューマニズム要素に溢れた作品だと思いました。昔の作品ですが超おすすめです。
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