魚雷に乗り込み、敵艦に一艘で突撃をかけるその様は、どうしても9・11WTCを思い起こさずに入られません。ラスト近くで現代のアメリカの姿が少し出てきますが、戦争の姿形は変わりましたが、そこで散っていく若者と、引きずり込まれていく一般市民に変わりはないのかもしれません。
この本の中で、気になったことが2点あります。
1点は、同じ時代を生きていた人達の中でも、年代によって、戦争に対する考え方は違うんだ、ということ。
主人公は大学生です。ある意味、人生の中でもっとも自由な時期に、戦争が始まります。当然、戦争に対してもニュートラルな姿勢をとることができます。そして彼の弟は小学生。徹底的に軍国教育で育てられた弟は、何の疑いもなく国のために死ぬことは誉れ高いことであると信じています。
2点目は、主人公が、敵国の兵隊のことに思いをはせるところです。彼らも本当はいい奴なのではないか、と。主人公自身は、直接敵国兵士と合間見えることはありません。
実際に戦地に行った人はどうだったのでしょう。自分が殺すべき相手をどうとらえていたのでしょうか。誰もがみんな「鬼畜米英」だと思っていたわけではないだろう、と私は思います。
戦争、それも特攻という題材を扱いながらも、意外に軽く読めるのは、戦争の一方で、野球という開放的な題材を織り込んでいること。また、主人公本人の心が張り裂けるように乱れるのではなく、最初からもう一人の自分である同級生の北を置いたことなどが要因でしょうか。
戦争小説である前に青春小説だと思いました。
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