愉快な物語ではありません。
ページを繰る度、時に歯切れよく、時に流れるように滑らかで美しい文章で紡がれる様々な『理不尽と暴力』が心をざわつかせます。
次に吐き・吸う自分の息すら厭になるような、読むことが苦役にもなる、私にとってはそんな物語でした。それでも、読む手は最後まで止められませんでした。
無知な私はあとがきを読んで、この作品がいわゆる『311後』の作ではないことを知り驚きました。
ただの自然現象によって分別も思慮も情けもなく薙ぎ払われる数々の命。
それを間近に見た人間の心情を、私は想像する事ができません。ましてや『311』を目の当たりにしなければ想像しようとも思えなかったしょう。20年遡れば、隣の都市で起こった阪神大震災を見てきたというのに。想像力を、プラスにもマイナスにも遠くにも近くにも飛び回らせられる著者の心が、少々恐ろしくなりました。青山真治監督の映画『ユリイカ』を思い出しましたが、物語の閉じ方の違いもあるにせよ、より心に強く残ったのは、この『光』でした。
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