日本近現代史を専攻されている東大教授の先生が高校生・中学生へ行った授業を収録。
歴史部にいるような学生さんとは言え質問の内容が高度です。
少なくとも私が高校生の時よりは知的レベルが高い。
本の内容とは直接関係ないけど、まず学生さんのレベルの高さに脱帽。
主に日清戦争~第2次世界大戦終戦までの日本のことを述べています。
学者先生なので様々な資料(最近見つかった資料・研究成果を含む)からの引用も多いです。
この点を不満と捉えるか、学者先生と話と言うのはそういうものだと捉えるか、面白いと捉えるかは評価が分かれるかもしれません。
私は面白いと感じました。
例えば日露戦争の時、従来は政府内で元老・伊藤博文以外全員戦争賛成だったという風に思われていたけど元老・山縣有朋も反対だったことが分かったそうです。(NHK総合「坂の上の雲」では伊藤だけが最後まで反対と描かれていました)
また第二次世界大戦末期民需関連の株が上がっていたそうです。
そんなときに株式市場があったのも驚きですが、投資家の中にはきちんと終戦を読んでいた人がいたんですね。「やるな、日本人」という感じです。
しかし私が最も印象的だったのはイギリスのE・H・カーと言う歴史家に関するお話です。
歴史は教訓を与える。もしくは歴史上の登場人物や、ある特殊な事件は、その次に起こる事件になにかしら影響を与えていると。一つの事件の経過が、次のある個別の事件に影響を与える。当事者が、ある過去の記憶に縛られて行動する。(p62)
とあり、カーが挙げているケースとしてロシア革命後の状況を説明しています。
フランス革命がナポレオンと言う戦争の天才・軍事的なリーダーシップを持ったカリスマの登場によって変質した結果、ヨーロッパが長い間、戦争状態になったとボリシェビキの人たちは考えた。
レーニンの後継者問題が出てきた時、ボリシェビキの人たちはナポレオンのような軍事的カリスマを選んでしまうと、革命が変質してしまう。
よって軍事的なカリスマ性を持っていたトロツキーではなくスターリンを選んだ。
しかしスターリンと言う指導者を選んだ結果がどんなに悲惨なものになったのは周知の事実です。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉もありますが、賢く経験から学んだつもりでも失敗する危険性をはらんでいる訳ですね。
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