司馬遼太郎

第5巻は203高地攻防の完結、せまりくるバルチック艦隊の様子をはさみながら旅順要塞の陥落が描かれています。4、5巻を通じては児玉という天才軍略家の活躍ぶりが一番印象的でした。この人がいなかったら旅順要塞は撃破できず、日露戦争の結果は違っていたかもしれません。 当時の世界の見方もそうであったように、端的には、ロシアは皇帝独裁の専制君主国家であり、日本は立憲君主国家となっていて民主化されていたから、たとえ強力な軍隊を持っていたとしてもロシアは結果的には負けるべくして負けたのであるということもこの小説の全体にわたり様々な観点から分析内容も描かれています。 日英同盟のもとイギリスの妨害にあい、バルチック艦隊は途中、満足な港に寄港することもままならず石炭の調達にも難儀するありさまで、また、たとえ戦艦は日本より優れていてもそれを使いこなす船員の習熟度が不十分であり、その後の日露戦争のクライマックス日本海海戦では疲労困憊の上、兵の質(訓練度)も日本より劣っていたのであるということも知ることができました。