生き物同士の関係性を描いた傑作

生物はそれぞれの主とした感覚で捉えた環世界を持っています。人間の場合は視覚ですが、アイシャは目をつぶっても歩けるほど臭覚がするどく、独自の臭覚世界をもっています。 その鋭い臭覚で生き物同士が匂いで、互いにコミュニケーションをとっており影響を及ぼし合っていることに、誰からおそわることなく気がついています。しかし、優れた感覚故に感覚や想いを共有することができず、孤独でもあります。 実在しないオアレ稲やヨマといった虫が登場しますが、その生態は極めて現実世界の生き物に近く膨大な資料をもとにこのファンタジーを構築していることがうかがえます。 虫、鳥、獣、人の栽培する野菜や穀物、そして植物たち。普段は脇役になりがちなものと国のあり方にフォーカスをあてた大傑作です。全てのものは関係性によって成り立っている、と分るでしょう。