昭和の脱獄王がモデルの小説。『赤い人』に続き本書を読めたことは幸いだ。明治時代の集治監とさほど変わらない構造の刑務所建屋に、青森刑務所を筆頭に脱獄を繰り返した佐久間清太郎(仮名)を収監する刑務所職員・看守との息詰まる攻防。そして、戦前~戦中~戦後の行刑史にも多くの紙幅を割いた構成。佐久間に対する量刑は、現在の刑法と比べ重いような気がする。戦中からの食糧難にあっても、受刑囚には既定量の食事を提供しようとしているのに、刑務所職員は一般国民と同じ配給だけというのは、いかにも融通の利かない国民性だと感じた。