酒井順子さんの中年女性ぶっちゃけエッセイを同時に読んでいたため、本作主人公ホリガイ女史の独白が、エッセイと本作との境界を曖昧にして面白かった。著者のデビュー作にして太宰治賞を受賞した作品は、京都在住の不思議な性格の大学4回生女子を取り巻く人間模様が淡々と綴られる。幼少時代のトラウマ、好きな男子の自死、処女喪失への憧憬、児童福祉司を目指す動機が輻輳する主人公。イノギさんの辛い過去と相まって、惹かれあう二人。静かに、しかし大きくうねる波のように進む物語を堪能した。