期待の若手

希代の絵師・河鍋暁斎を父に持った、とよ。父の大きさ故に苦労する彼女の姿を通し、家族とは、師弟とは何かを考えさせる。血なのか、あるいは墨なのか、と。体言止めが多く、台詞にも使われているが不自然さを感じさせないテンポの良さで読ませる。「流れ星」が効果的に用いられ、最後に至って表題が、ああ、なるほどと理解できる。心憎い。「若沖」「落花」などで話題になった書き手だが、進境著しく、直木賞に相応しい。時代小説、歴史小説の担い手として貴重な存在になってきた。