失踪した花魁の周辺にいた人物がそれぞれ事情を語っていく形式。最初の部分だけ、人の語りにしては説明っぽいような違和感を覚えましたが、やがて気にならなくなりました。 ミステリー仕立てのようですが、謎としてはさほどではありません。たぶん、この物語を描く方法のひとつとしてミステリーの形式をとっただけで、なぞ解きが目的ではないのでしょう。 苦界といわれる世界にしてはずいぶん甘いなという印象を受けましたが、この空気感とでもいうのか、花魁だけでなく、楼主や遣り手の婆や男衆など周辺を取り巻く人々や、吉原のさまざまな習慣や文化が描かれており、花魁好きな私にはこたえられないです。 きっと膨大な資料に支えられているのであろうと思える内容です。作者の他の作品も読んでみたい。