江戸から明治、大正、昭和(戦前・戦後)までの時代を、染井、茗荷谷から千駄ヶ谷まで、土地も移ろいながら人間模様を描く連作短編。表題作に見られる猫は、この作品では結構邪険にされていて、猫好きには少し残念。「仲之町の大入道」で内田百けんが出てくる以外は、本当に市井の人々の生活、それも不幸や怪異に焦点が当てられているようだ。「庄助さん」の赤紙によって召集された青年には、ぜひ生き残って映画を撮ってほしかった。