名曲は想像の中で自由だった

名曲,【風に立つライオン】 をヒントに 映画の主演でもある大沢たかおが さだまさし本人に映画の脚本を依頼していて 実現した映画化の原作だ。 歌は随分前の作品なので そのままという訳じゃなく 歌に歌われた主人公を 彼に関わりのある人々の述懐で 紡いでいく。 もう主人公は大沢たかおの顔として 読んでいったが、 一人称でない分 もうひとつ主人公の心情に 迫り切れなかった印象だ。 やはりここは王道で 彼の物語を彼の目を通して 描いて欲しかった、 これはこの歌のファンだからだけれど。 物語は東日本大震災直後の石巻の 赤十字病院にケニア人の若い医師が やってくるところから始まる。 歌に何ができるか、 さだまさしが、よく言っていた、 直接体を治すことは出来ないが せめて心に何かを届けたいと。 だから医師として 主人公に繋がるケニア人が 東北に来たことは さだ本人の切ない心情の表れかもと 深読みしつつ、 物語は現代と主人公が活躍した 1980年代のケニアの 戦傷病院の実情が描かれていく。 人は人を傷つける そして医師がそれを治していく、 戦闘なんかなければ そんな傷を治す必要もないのに、 当時のケニアでは来る日も来る日も 傷を負った人が運び込まれてくる。 そんな中には子供たちもいた。 そして彼らの中には10歳くらいで 麻薬で恐怖心を無くし、 銃を持たされた少年兵もいた。 現代でも似たような話を聞く、 つくづく人間って なんて残酷なんだろうと思うが その同じ人間が とても深い愛情を家族に向けたりする それもまた事実なのだ。 命は儚いが 強く持った意思や希望は 次の誰かに繋がれていく、 そんな輪が世界中に広がればいいのに そんな希望は ちょっと綺麗ごと過ぎると感じるほど 現実は無残だ。 それでもこの小説を読んで 綺麗事でも構わないから できることを身近な事から、 そんな些細なことから 始めることくらいしか 自分たちにはないのかもな、 それでも希望はある。 歌の歌詞を連想させる部分があると どうも歌の内容に自分の心が 持っていかれて、 小説としてはちょっと弱いかな、 でも十分感動させられたんだけどね。 ★100点満点で80点★