塩野さんは「絵で見る十字軍物語」をオペラの序曲に,本編を第一幕,第二幕・・・にたとえていますが,私が十字軍に興味を持ったのはオペラ作品がきっかけです。「第一回十字軍のロンバルディア人」,「タンクレディ」,タッソーのエルサレム解放を元にした数々の作品。どれも多分に脚色してあるので,本当の十字軍について知りたいと思って本も数冊読みましたが,これが一番です。 「知の再発見」シリーズのものは,図版も多くて取っつきやすいのですが,文章は淡々としていて,読んでいるときはなるほどと思っても,読後それほど強い印象は残らなかったのですが,こちらは本を閉じた後も,あたかもオペラの幕が下りた後のような,残像残響が離れない気分が味わえました。