二郎三郎はあくまで豊臣家との和平と、その後に招来する二大勢力によるパワーバランスを目指す。しかし史実は、豊臣が滅亡の道を歩む大坂冬の陣~夏の陣へと容赦なく進む。本作創出は『史疑徳川家康事蹟』が基となった大作だが、他の史料とも整合させる造りとなっている。もはや70歳を超し老齢の極みに達した二郎三郎には、秀忠、柳生の陰謀を完全に封じることができなくなった。そして最後に、「鯛の天ぷら」を食べたことが死因という逸話に、柳生毒殺を被せてきた!? 家康が影武者だったら……そんな物語を楽しませてもらった。