懐かしさとともに

『ポーの一族』は、霧に包まれた、薔薇の香りの漂う、美しく、哀しい物語でした。とにかく世界観が、全てが、圧倒的に美しかった。あの繊細で叙情的な世界は、もしかしたら少女漫画特有の、少女漫画にしか存在しないものだったのかも知れません。そうして全萩尾ファン待望の新作『ポー』。この中には、もう少し、論理性が入り込んで、やはり一種大人の描いた、大人の読み物、となっているような感覚がありました。それでも特にこの、含みを持たせた情感溢れるエンディングなど素晴らしい。この作品からでも、若い人に、こんな素晴らしい世界を構築する作家が居て、作品がある事を、もっともっと、知ってもらえたらなぁ、と、僭越ながら思う事しきりでした。