本書で示されたのはジェンダーを超えた問題

時は2010年代。トランスジェンダー、性自認が肉体の性と異なる感覚を抱いていると主張する人が、特に欧米の、未成年の少女の間で急増していることがわかった。理解が広まった結果なのであれば喜ばしいことだが、調査を始めると、全く別の、社会全体に関わる重大な問題が顕になってきた――。 少女たちが自ら望む "Irreversible Damage――回復不能な損害" とは。 本書を短絡的にジェンダー/トランスジェンダーの問題に分類すれば、必ず問題の本質を読み誤る! 少女たちの "流行" の実態を明らかにし、ジェンダー思想と性自認の実情、思想と彼女たちを政治的に利用する人々、そして副次的に "キャンセル・カルチャー" の問題まで社会に突きつけた衝撃のルポルタージュ。 本書で示された問題が解決したとしても、内面にある真の問題を解決しない限りは、似たようなことはこれからも、何度も起きるのでしょう。第二次性徴期/思春期を迎えた子と親に読んでほしい。 なお、原著の刊行は2020年で、作中で紹介された問題や課題、用語を英語で検索すると、2024年現在、ディトランジショナー(性別移行のプロセスを中断したり元々のジェンダーに再移行した人)らが性急な性別移行の危険性を訴えたり、WHO(世界保健機関)がケアの対象を成人に限定することを求める見解を発表したりするなど、行き過ぎたトランスジェンダー称賛に対して社会全体で揺り戻しが進んでいることを確認できる。 "トランスジェンダー/Transgender" "ディジスター/Desister" "ディトランジショナー/Detransitioner"