シッダールタ

後に釈尊と呼ばれたシッダールタの伝記かと思っていたが、バラモンの子が悟りと煩悩の間を揺れ動きながら、最終的に川との会話により成仏の域にまで達したという物語であった。インド思想を研究した著者の筆致は、宇宙的な存在や、衆生の存在を肯定している点で空海に通じるものがある。悟りとは世界の全てのものをあるがままに受け入れる心なのか。漫然と生きるのではなく、全てのものを認めて共に生きるということか。